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■TOMOMIさん

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TOMOMIさん PENTAX MZ-5 / SONNAR135mmF3.5



 
風景ばかりが写真ではない。
 ポートレート撮影をさせて頂く良い機会を得たので、自分なりに撮ってみた。モデルは神保町にあるG書房の店員をしているTOMOMIさん。
 「ポートレートには中望遠」という鉄則があるような気がしていくつか撮ったが、実際には標準レンズを使って撮ったものの方に佳作が多かった。向き不向きもあろう。
 使用したゾナー135mmF3.5は、現在は存在しない国家、東ドイツ製である。イデオロギーの香り漂うこのレンズは、カール・ツアイス・イエナが最後期に作ったもので、国が崩壊して、役人が退職金代わりに大量に横領。西側にばらまいたうちの1本が私の手元に来たらしい。新品なので、ヘリコイドのグリスが未だに堅い。
 L(ライカ)マウント・エキザクタマウントと共にユニバーサル・マウントとして名高いM42(プラクチカ)マウントを採用している。日本でもペンタックスの他にオリンパス、フジカ、ヤシカなどのカメラがこのマウントを使用していた。
 作例は夕方の日も陰ってきたころ撮影した。いつも思うことだが、こういう低コントラストの撮影にはドイツレンズが向いており、すばらしい描写をしてくれる。日本のレンズはピーカンなど高コントラスト時に合わせて設計されているような気さえするくらいだ。
 ポートレート撮影という事とMZ−5を使用していたため、絞り開放が便利だった。かつてのペンタックスSPなら、レンズの絞りピンをカメラがうまく叩くので開放以外でも便利に使用できるが、現代のAFペンタックスにはアダプター使用の上で装着しているので、絞りがシャッターと連動せず、それもかなわない。
 昨今の新型AF一眼レフを店頭で触ってみても、なかなか買いたいと思うカメラは無い。カメラが電子化されて行ったのはカメラ発達史の必然だったのだろうか?電池が無ければ全く動かなくなるというスペックが高級機としてはふさわしくない、という議論は無かったのか。
 あと10年もすれば、仕事に使うプロユーススチルカメラはデジタルカメラに完全に置き換わるであろう。そして、銀塩カメラはアマチュアの趣味の道具か、写真作家の独自の表現を具象化するための道具となる。そうなったとき、プロユースとしてその存在意義を主張しているニコンF5などのド級スペック搭載の戦艦カメラは全く不必要になる。デジカメがプロの仕事に耐えられるだけのスペックを獲得するまでの間、F5を頂点とする電気カメラに生産体制が集約されてしまうと、趣味として楽しめるカメラの存在意義が否定されかねない。
 ライカをはじめとする機械式カメラは70年以上現役でいることが出来る。そのメンテナンス技術の保全がおろそかにならないことを、今は願うばかりである。

PENTAX MZ-5
SONNAR135mmF3.5

 カール・ツアイスのゾナーとはどんな写りをするのだろうか、という興味と、本物のツアイスを一本持ってみたい、という俗物根性で買った。「本物の」というのは京セラ製ではないという意味だが、ツアイスの人が聞いたら「どちらもツアイスです」と怒るだろう。全くもってごもっとも。しかし、京セラのサービスセンターでいやな思いをした人は数多く、改善の兆しは見えない。その態度が改まるまでは京セラ製カメラを買うつもりはないし、持ち上げるつもりもない。製品は良いだけに「さすが天下のツァイスから製造を任された京セラよ!」と言われる姿を見たい。
 このレンズ、果たしてカメラに付けてみて驚いた。覗いただけで高性能を実感できるではないか。もちろん、上がってきたスリーブにもびっくりした。135mmなんて使わない焦点距離だが、欲しいカメラが出てきて、手放そうかと思うたびに下取りの安そうな金額が浮かび、やめた。こんないいレンズがこんなに安いなんて絶対おかしい。

1999年1月5日記


 

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