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神田小川町にある東京古書会館では毎日古書の交換会が開かれている。2月のある金曜日、市会で一通り入札してから昼飯を食べに出た。普段店で仕事をしているとなかなか外で食べることがないため、こういう機会を捉えて外食するのは愉しみになっていたりする。
もともと筆者は学校を卒業してから4年間は神保町にある古書店で働いていた。当然昼飯は毎日この界隈のお店で食べていたわけで、いくつかお気に入りのお店も出来ていた。白山通り
沿いで働いていた為、天丼やとんかつ、天ぷら定食を出す有名なお店にはよく通った。カレーが好きで裏通りにあるカレー屋さんや靖国通り沿いにあるスマトラカレーのお店にもよく並んだ。ここすずらん通りにも今も昼飯時になると大行列ができるような店がいくつもある。カツカレーで有名な洋食屋さんはこの通りにある。この日もカツカレーを目当てにすずらん通りを急いだ。
筆者の親父は筆者が生まれた頃からこの東京古書会館で二ヶ月に一度開かれる古書展に参加していた。小学生だった頃、古書展の片付けを手伝うという理由でお茶の水駅から駿河台下の交差点まで歩いたことがあった。半蔵門線は
そのころ開通していなかった。まだ若くてバリバリ働いていた頃の親父の姿はほとんど覚えていないが、夕闇のなかアーケードの灯りのまたたくすずらん通りのキラキラとしたイメージはなぜか忘れない。まだ時間が
少し早かったのをいいことにまるで吸い寄せられるように交差点を渡り、アーケードを歩ききったことを記憶している。寒い時期だったためか、見る店見る店がとても魅力的だったからか、子供心に一軒一軒入ってみたい気持ちだった。そんなこの通りの魅力を演出していたアーケードは筆者が神保町へ通いだす前に撤去され今は無い。
自分では時間をずらして行ったはずだったがお目当ての洋食屋さんは残念ながら大行列で、仕方なくカツカレーをあきらめて別のお店へと気持ちを切り替えた。白山通りにある洋食屋さん。メンチカツとしょうが焼きの盛り合わせ定食を注文した。ここのしょうが焼きは隠し味にケチャップが入っている、と少し前神保町を特集したTVで見た。4年間も毎週のように通っていたがその頃はまったく気付かなかった。 |