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ある土曜日、古書市場へ仕入れに行ったとき、怪しげなダンボール箱に封筒が付いているところにぶつかった。中を覗いて驚いた。本ではなかった。カメラだったのだ。こういうことはそれほど珍しい事ではない。まあ、どうせ安カメラが入っているのだろうな、と軽い気持ちで開けてみるとそこにはニコンのフラッグシップ機F2の姿があった(!)。付いていたレンズはニッコールオート28mmF2。Ai改造もしていないから、きっとワンオーナー物で今まで大切に扱われてきたカメラだと直感した。目の色が変わった。皆さんの目の付きやすい場所に展示されていたこともあって手早く動作チェックをする。ファインダーはどうか、レンズの絞りはどうか、クモリは出ていないか・・・などなど。果たして断然キレイな個体だった。市場に出ているという事で気持ちに火が点いた。次の瞬間にはゼヒともワタシが落札しなければ、と心に決めていた。
カメラを見る前と見たあとで表情が変わっているということはなかっただろうか、と心配しながら札を書いた。悪いが”このカメラの事はここへ入札に来られた誰よりもワタシが詳しい”という変な自信があった。もっとも、本の市場でカメラの相場を知っていても実は何の役にも立たないのであるが・・・(^^;。
入札した後は速やかにその場を離れ、何事もなかったように別の本へ入札を続けて二度とカメラのそばには近寄らなかった。本当にほしい物の前で長居をしないのは落札するための高等テクニックなのである。
店に一旦戻り、開札作業が終了した頃を見計らって市場の方に電話を入れた。なんとか落札できているらしい。引き取りに行ってドキドキしながら札を見た。上札での落札だった・・・。うーむ、首の皮一枚か・・・。
2004年6月12日記 |